今皆さんがご覧になっているこのHPを読んで、お問い合わせいただいた案件で、「遠赤外線を発生させるパネルを作製してほしい」というのがありました。そこで、当社がメインで使用する耐熱塗料を含めた機能性塗料大手の大島工業に問い合わせたところ、遠赤外線発生機能を持った塗料があるとのことでした。早速、サンプルを送ってもらい、施工テスト、そして、遠赤外線の波長がどのように発生させられるのかを実際に作成したサンプルにてデータを計測し、いろいろと準備を重ねていき、実機テストの段階まで来ました。この流れの中で、日本遠赤外線(株)様にて、実機テストを行っていただいたとき、実機の稼働時に、刺激臭が発生するとの指摘がありました。
実機の使用温度帯が、塗膜焼成温度よりも高く、焼成時に抜けきれなかった溶剤分が揮発して発生したのではないかという類推が立ちました。そこで、大島工業のラボで、どの温度帯で、どれくらいの時間を焼成させれば、匂いが抜けるのかを実験してもらい、今現在設定している工程ができあがりました。
この遠赤外線パネル塗装のお仕事を受注して、今年で3年目を迎えますが、累計で2万台以上の製造実績を数えますが、不具合報告はなく、客先のメーカー様と、塗料製造のメーカーと、当社が連携して、正しい工程を追求し、確立して施工している結果ではないかと自負しております。防錆機能以外にも機能を持つ、機能性塗料の施工に関して、非常に多くの実績を持つ当社としてのノウハウが、良い方向に発揮できた事例です。以下に「遠赤外線」とは何かをご説明差し上げましたので、こちらもご参照いただければと存じます。
遠赤外線とは
太陽から地球には多くの光が届いており、可視域の光には波長の長い赤から、短い紫までが含まれています。このほかにも目には見えませんが、赤より波長の長い成分と、紫より短い波長の成分も同時に届いています。前者を赤外線(赤外放射)、後者を紫外線(紫外放射)と言います。赤外線はものを暖める作用があり、その中でも遠赤外線は、さらに波長の長い領域を指し、波長3~1,000μmまでと定義しています。加熱などで広く利用されているのは、3~30μmくらいの波長域です。
遠赤外線(遠赤外放射)は、金属以外、具体的にはプラスチックス、塗料、繊維、木材、ゴム、食物、セラミックス、水等の物体によく吸収されるため、多くの物体を非常に効率的に加熱する働きがあります。金属以外のほとんどの物質の固有振動数は、波長に換算すると3~30μmに相当し、ちょうど遠赤外放射の波長です。このため多くの物質に遠赤外放射が当たると、その物質を構成している分子や原子団の振動、結晶の格子振動が容易に励起されるのです。
遠赤外放射が当たった多くの物質で生じる振動は(原子の平衡位置を中心とした)微小な(固有)振動に由来するもので、これはいわゆる熱振動に相当します。熱振動が活発になるということで、同時に物体の温度も上昇します。従って遠赤外放射が吸収されれば、すぐその(吸収)部分の温度上昇という結果をもたらすのです。
(出展:非営利一般社団法人遠赤外線協会「遠赤外線とは?」からの要約)